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東京ベランダ通信

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2009年 08月 13日

おとなの夏休み⑩

スーパー・マッハ号で行く多摩川⑧

原チャリで多摩川を上る旅もこの回が最後だ。
オヤジの冒険に最後まで付き合ってくれた人、ありがとう。
最終回は白丸ダムから奥多摩湖に突き出た山の上にある小河内神社までの20kmを行く。

前にも書いたが、多摩川と呼ばれるのは小河内ダム(奥多摩湖)から下流域だ。
奥多摩湖から上流は丹波川といい、源流部は山梨の笠取山にある。
笠取山は10年前に登って、“水干”で多摩川の最初のひと滴を飲んでいる。
苔むした山肌からチョロチョロと湧き出る水が流れとなり、奥多摩湖に集められ、
その水は青梅、国分寺、調布、世田谷など東京都だけで21もの自治体を流れて東京湾に注ぐ。

3日かけて河口から奥多摩湖まで旅をした。
川に暮らす人たちの生活が見たかったのだ。
源流から河口までの138kmを踏破してみたかったのだ。
祭り、川遊び、釣り、スイカ、蝉しぐれ、入道雲…、
正真正銘の“日本の夏”を見たかったのだ。


JR青梅線と多摩川に挟まれるように青梅街道(国道411号)は奥多摩湖へと続く。
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奥多摩駅は山小屋風の駅だ。青梅線の終着駅で、東京都内でもっとも西にある駅だ。
標高は343m、都内にあるJRの駅でもっとも高い。
『関東の駅100選』にも選ばれている。
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ホームにはオレンジバーミリオンの帯を巻いたE233系電車が止まっていた。
こんな山の中の駅なのにsuicaが使えるのが東京らしい。
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奥多摩駅から先は湖畔に沿って進む。
山々の緑を映した湖面が美しいが,この湖の下にはダムによって水没した集落がある。
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石川達三の「日陰の村」には以下のような記述がある。
「東京という大都市が発展していく、すると大木の日蔭にある草が枯れていくように、小河内は発展する東京の犠牲になって枯れてゆく。山の日蔭にある間は良かったが、都会の日蔭になっていくと、もう村は駄目なのだ。」

小河内ダムは昭和10年に着工、戦時中の中断を経て、昭和32年に完成する。
当時としては世界最大級の水道用ダムであった。
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馬頭トンネルの先にバス停がある。
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湖面には対岸に渡るドラム缶橋が見える。

トンネル横の山道を登る。この道は湖に突き出た半島の山に通じている。
小河内神社はこの山の上にあった。
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この神社、天照皇大神、広國押武金日命、伊弉那美命、貴船大神、大山祇神などなど、11もの神様を祀っている。
ダム建設のため水没した旧小河内村にあった九つの神社の神様をまとめて祀ってあるからだ。

急な石段を登って参詣したのだが、あいにく本殿が工事中だった。
人は誰もいなかった。

帰り道、鳩ノ巣の喫茶店でコーヒーを飲んだ。
青梅からここに来て20年になるというオヤジと話をした。
オヤジは小河内神社のことなど、まったく知らなかった。

多摩川は若いときに立川辺りまで下ったことはあるけど、その先は知らないといった。
つまり山から出たことがないのだ。
渋谷から原チャリで来たといったらビックリしていた。
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オヤジは鳩ノ巣渓谷の素晴らしさを滔々と語った。
自慢話を聞いていたらすっかり遅くなってしまった。
夕日の中をスーパー・マッハ号はトロトロと下った。
クルマでは体験できない旅だった。

ケツが痛いが、いい旅だった。
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                  (完)

by novou | 2009-08-13 11:14 | 番外編 | Trackback | Comments(0)
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