東京ベランダ通信

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2017年 12月 02日

ハハの呪いとチチの祟り

昨日の夜、ハハからのエマージェンシーコール。
オクさんと急いで部屋に行ってみる。

「どーしたの?」
「病院に行きたいんだけど、連れていってくれるかい?」とハハ。
「いいけど救急車で病院に行ってからまだ1週間しかたってないんだよ」とボク。
「だって、全然よくならないからさ」
「全然よくならないって、3日で歩けるようになったじゃないか。
いま病院に行っても痛み止めと湿布を処方されるだけなんだよ」
「だけど、このままじゃ、痛くて散歩にも体操にもいけないしょ」とすねるハハ。
「あのね、おかあさん。転んで腰を打ったんだからそんなに急には直らないんだよ。
あと1週間くらい様子を見て、よくならなかったら連れていくから、今日はもう寝なさい」

ボクは少し声を荒げた。言い方もちょっと冷たかったようだ。

オクさんはハハをパジャマに着替えさせ、湿布を取り換えている。

「あの子は冷たいね。ひとりっこなのにね」とハハはオクさんにグチって、ふて寝するように横になった。

「おかあさんはいま甘えたモードなんだからもっと優しくしてあげなさい」とボクはオクさんにたしなめられる。

「まったく、腰より老人性うつが悪化してるんじゃないか」と捨てぜりふを残し、
明かりを消して部屋に戻ろうとした時、事は起こった。

リビングのキック式のスイッチを蹴ろうとしたボクはツルリと足を滑らせ、頭と腰を床にしたたか打ちつけたのだ。

「痛っってえ!!」とボクは叫んだ。

「大丈夫? のぶちゃん??」
オクさんも叫ぶ。

ベッドのハハは知らんぷりだ。

仏壇のチチの写真がニヤリと笑っていた。

かばおうとして床についた手が腫れて痛い。

部屋の隅に重ねてあった骨董の銘々膳が飛び散り、足が1本折れた。

実はこの日の昼には鍵を拾おうとして、郵便受けの角に思いっきり頭をぶつけ、ボクはタンコブをこしらえている。

ハハの呪いとチチの祟りを1日で受けた気がした。

チチよハハよ、ごめんなさい。
これからはうんと優しくするので、どーか許してくださいませませ〜。


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by novou | 2017-12-02 06:32 | 日々の暮らし | Trackback | Comments(0)
2017年 11月 26日

ハハのピンチ?

勤労感謝の日の深夜、ハハがトイレで転倒して救急車で日赤に運ばれた。
レントゲン検査の結果、骨折はなく、痛み止めの内服薬とモーラステープを処方され帰ってきた。

ただ、背中と腰の痛みがひどいらしく、寝返りも打てないほどで、介助がないとトイレにも行けないのだ。

ところがだ。
今日の朝、ハハの部屋に行ってみると、杖をついてひとりで歩けるようになっている。
キセキだ。

「すごいね、おかあさん、どうしちゃったの?」と聞くと、
「夜中にね、お父さんが夢に出てきて、オマエ、寝込んでる場合じゃないぞ。
元気になって長生きして年金の元をとれっていうんだわ。そしたらおかあさん、急に元気になって起きられるようになったんだわ」と、
ニヤリと笑うではないか。

そしてハハは腰に手を当て、オクさんが作った特製玄米酢入りスムージーをゴクリと飲み干したのだ。

年金の元を取らないと、死ぬに死ねないハハ、キョーコ87歳と9ヵ月であった。


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by novou | 2017-11-26 10:53 | 日々の暮らし | Trackback | Comments(2)
2017年 06月 05日

母のプレゼント

6月1日の朝、ピンポンピンポンピンポンとせわしなくチャイムがなって、ハハがやってきた。
「ノブヤ〜、あんたこれ好きでしょ。お母さん忘れてたけど、ほれ、誕生日おめでとう!」
と、ボクにコンビニ袋を差し出した。

のぞくとなかにアイスクリームがどっさりあった。
たぶん10個以上はあるだろう。
となりのローソンで買ってきたらしい。

「あ、ありがとう。でもうちの冷凍庫にはこんなに入らないから、お母さんの冷凍庫に入れといて」
「そうかい。じゃあ、入れとくからいつでも食べにおいで…」
と、コンビニ袋を持ってそそくさと帰っていった。

ボクの誕生日は5月29日だ。
一人息子の誕生日を忘れるってのもどうかと思うが、
プレゼントにコンビニアイス10個って嫌がらせか?

「あんたこれ好きでしょ」って、確かに子どものころはよく食べたけど、
大人になってからは、ほとんど食べたことはない。

去年も一昨年も誕生日プレゼントは花束だった。
しかも、それは必ず当日の朝に、ハハの満面の笑顔つきでボクに手渡された。
照れ臭かったが嬉しかった。

ハハはことし87歳だ。
息子の誕生日を記憶する力も、花束を買いに行く気力も、もうなくなってしまったのか。

それとも子どものころみたいに、ボクと一緒にアイスを食べたかったんだろうか?
それならちょっと嬉しいけど…。

一度、ハハの部屋で一緒にアイスを食べてみようかな。
昔話でもしながらさ…。
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アイスは井山三希子さんのカップに入れ、須田二郎さんの鍋敷きにおいて、ちょっとおしゃれに撮ってみました。
コンビニアイスには見えんでしょ(笑)。



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by novou | 2017-06-05 03:50 | 番外編 | Trackback | Comments(0)
2014年 03月 23日

3年前のあの日のこと

18日は父の3回目の命日でした。
その日は仕事だったので、きょう、3人で墓参りを済ませてきました。
墓を洗い、花を手向け、チチの好きだったおまんじゅうとお煎茶を供えました。
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3月18日…。チチは東北大震災から1週間後に息を引き取ったのです。
葬儀はハハとオクさんとボクの3人で済ませました。
交通網が寸断されていたので、葬儀には誰も出席することができなかったのです。

被災地ではたくさんのご遺体が、花を飾られることもなく、土葬にされている時でした。
だから、ご遺族の無念を思うと、ベッドで息を引き取り、火葬して見送れただけでも幸せなことだと感じました。



2011年3月11日には、もうひとつ、エピソードがあります。

拙著に『東京ディズニーリゾート植物ガイド』(講談社刊)という本があるのですが、この発売日が2011年3月10日だったのです。
つまり、この本が書店にならんだのが3月11日でした。
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花好きのチチに喜んでもらいたくて、書いた本でした。
チチの看病の合間にパークに通って書き上げた本でした。
チチは余命を宣告されていたので、なんとか生きているうちに間に合わせたかったのです。
間に合いはしましたが、この時、チチはすでに目を開ける力も残っていませんでした。

そして、ご存知のように東京ディズニーリゾートは震災の翌日から1ヵ月以上閉鎖されました。
パークが開園していなければガイドブックは売れるわけがありませんから、ホントに運のない本だなぁ、とその時は思いました。

でも、意外なことに、この本は売れたのです。
本には愛読者カードが挟み込まれているので、出版社には読者からの感想が届きます。
それを見ると、「1日も早くパークが開園するのを待ち望んでいます」とか、
「この本を持ってパークに行ける日を楽しみにしています」という感想をたくさんいただいたのです。

あれから3年、『東京ディズニーリゾート植物ガイド』は版を重ね、現在5刷となっています。

パークで花を見られることや、家族揃って動物園にいけるといった当たり前のことが、実はかけがえもなく幸せなことなんだ、と思うきょうこの頃なのです。

そして、この幸せが長く続きますようにと祈らずにはいられません。
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by novou | 2014-03-23 16:32 | 番外編 | Trackback | Comments(4)
2013年 09月 12日

カボチャの煮物

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「ちょっと煮すぎちゃったけど、食べな」と、きのうの夕方、ハハがカボチャの煮物を持ってきてくれた。
チチが死んでから、ほとんど料理をしなくなったハハだが、カボチャの煮物だけは月に1、2度作るのだ。

カボチャの煮物はボクにとってふるさとの味であり、おふくろの味だ。
ハハの作るそれはホクホクしていて、少し残ったワタの部分に醤油と砂糖とバターの甘からい味がしみていて、たまらんおいしさなのだ。

北海道に住んでいた頃は、食卓に必ずカボチャの煮物が並んでいたし、いまでもボクのいちばんの好物はカボチャの煮物だ。
ハハもそれを知っているので、いつも多めにこしらえては「食べな」と、持ってきてくれる。

ところが、今年の春ごろから、ハハの作るカボチャの煮物の味が変わってきた。
甘いのだ。カボチャの甘さならいいのだが、あきらかに砂糖の甘さである。
それでも「どんだけ砂糖 使う気なんだよ」なんて憎まれ口をたたきながらも、オクさんと2人でちゃんと残さず食べていた。
でも、きのうのカボチャの煮物は、ひと口食べて「ムリ!」と箸を置くほど、甘かったのだ。

年を取ると味覚が鈍感になって濃い味を好むようになるというけど、甘いにもホドがある。

ただ、これだけはいっても直らなそうだし、ハハが作ってくれる唯一の料理に文句を言うと、
もう何も作らなくなりそうで、それも困る。ただでさえ最近は無気力なハハなのだ。

どんぶりを返しに行った時、ハハに言った。
「おいしかったよ。また作ってね」と…。

ハハは「そうかい」と、嬉しそうに笑った。


P.S. 最近、ハハの部屋に行くと凄いボリュームでテレビがついていたりします。
耳も遠くなってきたみたい。困った…。
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by novou | 2013-09-12 18:15 | 日々の暮らし | Trackback | Comments(0)
2012年 03月 26日

嬉しかったこと、ガッカリしたこと…。

2012/03/26(月)
晴れのち曇り/12℃

ずいぶんとご無沙汰してしまいました。
いろいろあって、なかなか気持ちがブログに向かわなかったんです。

ほとんどがハハの事になりますが、ガッカリしたことから書きましょう。

お天気がよかった14日の午後、ボクのケータイが鳴りました。
ハハからでした。

「あんね、いま西郷山公園にいるんだけど、クルマで迎えに来てくれないかい?」
「えっ、どーしたの?」
「あのさ、お母さんさ、トイレに入ったら立てなくなって、みんなに助けてもらったのさ。
それでまだ足がガクガクして歩けないのさ…。だからクルマで迎えにきて!」と、お姫さまモード全開でいうのであります。

その日、クルマはオクさんが使っていたので、ボクはとりあえず、走って西郷山へと向かいました。

公園のトイレの近くのベンチには、小さな人だかりができていました。
その真ん中にいたのがハハでした。

事情はこうでした。

ハハは散歩に来たもののオシッコがしたくなって、トイレに入りました。
でも、公園のトイレは和式しかなくて、しかも、つかまるバーもなかったので、しゃがんで用をたしていたら、立てなくなってしまったのです。

ハハはドアを叩いて「助けてくださ〜い!」と何度も叫んだそうです。
15分ぐらいして、近くのインターナショナルスクールに、子どもを迎えに来ていたお母さんが異常に気づいてくれたのですが、一人では重くて、ハハを立ち上がらせることができなかったそうです(;-_-メ;)。

そこで仲間のお母さんたちがさらに3人駆けつけてくれて、トイレから救出してくれたそうです(-_-;)。

騒ぎを聞きつけて、公園の管理をしているというオジサンも2人きていました。

ボクは「ありがとうございました。助かりました」と、お礼をいって、ハハを連れて帰ろうとしました。
でも、立ち上がろうとすると、ハハの足は生まれたてのバンビみたいにワナワナ震えて、ヘナヘナと座り込んでしまうのでした。

結局、公園のベンチで30分ほど休みました。そしてハハの足をさすり、抱えるようにして家まで連れて帰りました。

途中、ハハに聴きました。

「立てなくなっても、パンツは自分で上げられたんだね」
「いいや、上げられなかったさ。お母さん、お尻丸出しだったんだぁ」

どひゃー!!!

「ふたりがお母さんを支えて、ひとりがパンツを上げてくれたのさ」

ひえっー!!!

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その日の夕方、ボクは近所のデパートにハハの杖を買いに行ったのでした。

そして、西郷山公園の女子トイレには、近々、介助用のバーが設置されるらしいです。

あ、長くなったので、とりあえず、ガッカリした編はこの辺で…。

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by novou | 2012-03-26 20:22 | トホホな話 | Trackback | Comments(2)