2010/04/21(水)
晴れ/25℃
札幌の医師からの紹介状とCT画像のデータを持って、父を五反田の大きな総合病院に連れて行った。体調のすぐれない母を家に置いて行こうとしたのだが、母は「一緒に行く」といって譲らない。
初診受付を済ませ、診察カードを受け取って、消化器内科のカウンターで、再度、受付を済ませる。「大きすぎてお父さんとお母さんだけでは迷子になるわ」と、母はお上りさんのように、あたりをきょろきょろ見まわしている。
父の診察は膵臓専門の医師が担当してくれることになった。
1時間ほど待って診察室に呼ばれた。
これまでの経緯を聞き、コンピュータ上のCT画像をみて、「札幌の先生からご本人はもう説明は受けていますか?」と担当医。
「ハイ」と神妙に答える父。
「膵頭癌なのですが、御高齢なので手術は勧められません。抗がん剤での治療については、副作用のこともありますし、半年の余命が3〜6ヵ月延びるだけなので、生活の質を考えればこのまま治療しないというのもひとつの選択です。どうされますか?」
なんともドライな聞き方だ。
うしろで座って聞いていた母は、しきりにハンカチで目頭を押さえている。
一拍おいて「抗がん剤の治療を希望します」と父。
「そうですか。では、ジェムザールという薬を使いますが、高齢なので通常の80%の量を2週間おきに点滴しましょうか…。もうすぐ連休に入りますし、治療はゴールデンウィーク明けからにしましょう。それまで温泉にでも行って、のんびり身体を休めていてください」
事態は切迫しているはずなのに、抗がん剤治療よりも家族一緒の休暇を優先させなさいと担当医は暗に勧めてくれたのだ。
これが家族で過ごす最後のGWになるんだなぁと思うと、泣けてきた。