人気ブログランキング | 話題のタグを見る

東京ベランダ通信

noveranda.exblog.jp
ブログトップ
2019年 08月 09日

カナイさん


カナイさん_f0160063_10131808.jpg
となりのベッドのカナイさんは72歳だ。
この病院では点滴や配膳の際に、本人確認のため名前と生年月日をいうルールがあるので間違いはない。

このカナイさん、ただモノではない。

今朝の検温で
看護師「カナイさん、昨日は眠れましたか?」
「眠れない。夜中の3時までまんずりとも出来なかった」
看護師「???」

カナイさん、それは「まんじり」だ。
カナイさんはオンナかも知れない…。



隣でカナイさんがゴソゴソなにかを探している。
収納棚の扉をパタパタ開けたり、ボストンバッグの中を捜索しているようだ。
「あれぇ、どこにしまったっけかなぁ。無修正、無修正…」

カナイさんはかなりエロいものをお持ちのようだ…。


夜の検温で
看護師「カナイさん、そのお花きれいですけど、この病棟では生花は持ち込めないんですよ…」
「お見舞いで貰ったんだけどダメなの?」
看護師「そうです。処分していいですか?」
「う〜ん、じゃぁこのバラ、Present for you!」

カナイさんは英語が出来る…。


朝の検温で
看護師「カナイさん、今日の体調はいかがですか?」
「上向き、上向き、ぐんぐんぐぅ〜ん! そろそろ退院してもいいんじゃないの?」
看護師「でも、カナイさんの場合は退院するとお酒のことがあるからねぇ」
「シャバに出るとオレの場合、誘惑が多いからなぁ。へっへ」
看護師「ダメですよ。カナイさんは肝臓が弱ってるんだからノンアルにしないと抗がん剤も使えなくなりますよ。
「といってもねぇ、退院するとすぐに町内の祭りだろ、祭りでしらふってぇのもねぇ。へっへ…」

カナイさんは命知らずだ…。


お尻事件
「昨日はお尻が痛くて一睡も出来なかったんだよ」
看護師「痛み止めは効きませんでしたか?」
「ぜんぜんきっかねぇよ」
看護師「一番痛いのを10とすると今はいくつぐらいの痛みですか?」
「眠れないほど痛いんだから10だろうよ」
看護師「解りました。あとで外科の先生に診てもらいましょうね」

しばらくしてカナイさんのもとに若い外科医がやってくる。
肛門に指を入れられて触診されているようだ。
カナイさんは唇を噛んで声が出るのを必死でこらえているようだ。
額には脂汗が浮いている(たぶん)。

外科医は帰った。

しばらくして
看護師「カナイさん、先生からクスリが出てますから、これをお尻に注してくださいね」
「おれ、そんなんやったことないもの」
看護師「キャップを外して先を肛門に入れて、丸いところをチューって絞ればいいだけですよ」
「一回やってみてよ」
看護師「えっっ、わ、解りました。じゃあ、横を向いて下着を下ろしてもらっていいですか」
「こうかい?」
看護師「ああ、ずいぶんひどいですねぇ。ちょっとただれてますね。外側にも塗った方がいいですね。少し触りますよ」
(ヌチャヌチャ)
「お、おぅ…」
看護師「中に入れますよ」
「う、うぅっ…」
看護師「チューって絞りますよ」
「あ、あぅっ…」


カナイさんは変態かも…。


3日後の事
看護師「カナイさん、その後のお尻の調子はどうですか?」
「快調快調! 痛みは10のうち3だな」
看護師「それはよかったですね」
「でもさ、クスリを入れるとすぐウンコしたくなるんだよね」
看護師「カナイさん、痔のクスリは浣腸じゃ、ありませんからね。我慢して下さい」

カナイさんはプレイのつもりなのか?


痔がよくなってきたカナイさんは機嫌がよろしい。
看護師に呼ばれると「はぁあーい!」と「あ」にアクセントをつけて返事をする。
看護師が検温して血圧と酸素量を計って、食事の量をチェックして帰る時は「あっりがっとねぇー!」という。


カナイさんはアホの坂田だ。


あれから毎朝毎晩オレはカナイさんの痔の調子を聞かされる事になった。
看護師「カナイさん、今日はお尻の調子は10のうちどのくらい?」
「2.57 !」

カナイさんの肛門のセンサーは超高感度だ。

早くカナイさんの痔が完治しますように…。白血病もね。

(つづく、かもしれない)







by novou | 2019-08-09 10:24 | 番外編 | Trackback | Comments(0)
名前
URL
削除用パスワード


<< 実ものいろいろ      ジェイソン・ムラーズ >>