人気ブログランキング | 話題のタグを見る

東京ベランダ通信

noveranda.exblog.jp
ブログトップ
2019年 10月 17日

ボクの好きなラーメン

新宿1丁目の路地裏に「佐高」というラーメン屋がある。

主人は巨大チャーシューで有名な西新宿の「満来」で10年修業を積んだ人だ。

独立したのは12年前。

いい店である。

ただ、ここの主人、無愛想なのだ。

笑ったところを見た事がない。
でも、いらっしゃいませと、ありがとうございましたは、ちゃんという。
とても小さな声だけど…。

無口でもある。

いつだったか、客が引き戸を5cmほど開けたまま帰った事がある。
その時主人は黙っておかみさんを見て、そして引き戸の方を見て軽くあごをしゃくった。
すると、おかみさんはすーっと厨房から出て、引き戸を閉めたのだ。
この店では指示のほとんどがアイコンタクトだ。
もちろん店内にはテレビもラジオもBGMもない。
だからいつもしーんとしている。

券売機がないのも好感が持てる。
客は入り口の横で先払いする。

主人は几帳面できれい好きでもある。
厨房もカウンターもいつもピカピカだ。

技術も確かだ。
麺は今どき珍しい手打ちなのだが太さは均一。
機械打ち以上に正確なのだ。
茹で上げた麺を平ザルでチャッチャッと湯切りする所作にも熟練の腕を感じる。


さて、長くなった。
本題に入ろう。
ボクの好きなラーメン_f0160063_16094318.jpg

店の看板は「納豆つけラーメン」である。

「ラーメンになっとう〜! うっそ〜っ、信じられな〜い!!!」
という声が聞こえてきそうだが、信じなさい。

スープは鶏と豚と野菜でとる。
野菜の上品な甘みが効いている。
刻んだチャーシューも入っている。

このスープに卵と納豆を泡立てたものを滑らせるようにのせる。
それはふうわりとスープの上に浮く。

麺をたぐってスープに浸し、ひと口啜る。
うまいなぁ。
普通なら、たまご臭かったり、納豆臭かったりするものだが、これがない。

聞くところによると、水戸の納豆屋にスープが臭くならないような特別な納豆を作って貰っているらしい。

さらに麺を啜る。
するすると喉を通る麺から、ほのかに小麦の香りがする。
かん水を使っていない自家製手打ち麺の本領発揮である。

本来ならスープを全部飲み干したいところだが、いまは通風のケもあるし、血糖値も不安定なので半分でやめておく。
せめて納豆をひと粒残さず食べ切りたいのだが、スープに沈む納豆を箸でつまむのは至難の業だ。
次に訪れる時には、湯豆腐を食べる時に使う豆腐すくいを持ち込みたい。




ちなみにボクがいつも注文するのは「納豆つけラーメン 麺半分」(写真)。
通常の麺はこの倍量です。
ボクの好きなラーメン_f0160063_16095216.jpg

[お断り]

これはあくまでも個人の感想です。

でも、一度食べると病みつきになります。
無口で愛想のない職人気質の主人も好感が持てます。

人生の終わりに食べたいものは? と聞かれたらボクの10番以内に入ります。

訪問の際は矢野顕子の「ラーメンたべたい」を口ずさみながらどーぞ!


●余談ですが、店の入り口には12年前にボクが取材した「FRIDAY」の記事がいまだに張ってあります。
嬉しいのですがとても恥ずかしいです。

ボクの好きなラーメン_f0160063_16103894.jpg



by novou | 2019-10-17 16:18 | 番外編 | Trackback | Comments(0)
名前
URL
削除用パスワード


<< エリカとショパンのこと      greenhouse coll... >>