東京ベランダ通信

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2013年 09月 30日

月を見にてっぺんへ…③

ちょっと間があいたけど、山旅の続きをいっきに書いてしまおう。
かなり長文です。 念のため…(^O^)V 

峠の茶屋に着いたのは1時頃。
すでに5時間半歩いているので、ちょっとバテた。
とくに下りは膝にくるので、足に踏ん張りがきかなくなってくる。
山での転倒や滑落事故は、大半が下りでおこるのも、このためだ。

茶屋で10分ほど休憩。
よ〜く冷えた濃〜い牛乳をいっき飲みした。
ああ〜、生き返る。

ここからロープウェイ山麓駅まではもうひと息。
石畳の遊歩道を15分ほど歩く。
遊歩道の入り口には「熊出没注意!」の看板。
熊鈴を鳴らしながら歩いた。

山麓駅からはきょうの宿、北湯に向かう。

北湯入り口までは東野バスを利用する。
バスは1時間に1本だ。

北湯入り口でバスを降り、北湯温泉までは30分。
バス停からだとずいぶん歩く。

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2時、ヘロヘロになって北湯到着! 
支配人が「お疲れさまでした」と、ねぎらってくれる。
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北湯はクルマでは行けない山あいの一軒宿だ。
訪れるのは山好きや秘湯マニア、
それに地元の農家の人が、農閑期に湯治に来るだけだ。

ところが去年、突然、様相が変わった。
映画化された『テルマエ・ロマエ』のロケ地として紹介されたのだ。
映画が公開されるや、俄然客が増え(女子高生も集団で来たらしい)、秋は立ち寄り湯の客で、帳場に長〜い行列ができたという。

ただ、それも一時のブームで、いまはまた以前の落ち着きを取り戻しつつある。

宿は江戸時代に建てられたのだが、明治と昭和に増築をして、いまの姿となった。
宿泊料金は江戸、明治、昭和のどの部屋に泊まるかで1000円ずつ違ってくる。
古いほど安くなるのだ。

宿には混浴の天狗の湯や泳ぎ湯(大露天風呂)、女性専用の芽の湯などバリエーションにとんだ温泉が5つほどあるのだが、特筆すべきはなんといっても泳ぎ湯だ。
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旅行や雑誌の仕事で全国各地の温泉に出かけたが、北湯の泳ぎ湯より大きな露天風呂をボクは知らない。25mプールがすっぽり入ってしまう大きさだ。
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はじめてここを訪れたのは20年前のこと。雑誌の秘湯特集の取材だった。
その時は霧のような細かな雨が降っていた。撮影のためモデルさんに露天風呂に入ってもらったのだが、
谷あいの露天は、湯気と小雨で蚊帳のように覆われ、モデルさんが照明の薄明かりに幻想的に浮かび上がって、たまらない色っぽさだった。

あれから20年、今回はモデルはいない。ひとり旅なので自分撮りだ。
色っぽさのかけらもないオヤジの写真でホントに申し訳ない。

ただ、きょうは中秋の名月。
モデルさんの替わりに色っぽいお月さんが顔を見せてくれている。
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この日の宿に北湯を選んだのも、ボクが知っているいちばん大きな露天風呂に、満月が映るのを観たかったからだ。

宿に到着して夕食の30分以外、ボクはずっと露天風呂に浸かり、月を眺めた。
最高だった。
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ボクは山の空気や月あかりや木の香りに包まれる。
山のすべてが体中に染み渡っていくのを感じる。
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そして、一歩一歩汗して歩いてきたからこそ、今ここにいるんだという自己存在を、ボクは存分に味わうことができたのだ。

ああ、山は偉大だ。

ありがとう!
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by novou | 2013-09-30 19:19 | 番外編 | Trackback | Comments(0)
2013年 09月 26日

月を見にてっぺんへ…②

煙草屋旅館の朝食は6時半だ。
ドド〜ンと太鼓の合図で強制的に起こされる。
さっさと朝食を済ませ、ザブンと風呂に入り、7時半には宿を出た。

きょうは隠居倉から熊見曽根を経て、朝日岳を目指す。
那須連峰の核心部を歩くのだ。

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隠居倉へは宿の裏手からとりつく。
温泉神社の鳥居をくぐり、急坂を30分ほど登って行くと、噴煙が立ち上る平坦地に着く。
ここが三斗小屋温泉の源泉だ。
登山道の横からも、ブォッブォッという不気味な噴気の音が聞こえてくる。
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さらにザレ場を登って行くと稜線に飛び出て、きのう登った茶臼岳がその山容を見せる。
ここからはさらに急登が続き、足はガクガク、息も絶え絶えになった頃、隠居倉の山頂(1819m)に到着する。
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きょうも快晴。山頂からは三本槍や茶臼岳、そして目指す朝日岳が見渡せる。
360度、見えるのは山、山、山で、那須連山の真ん中にいるんだって実感が湧いてくる。
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隠居倉から熊見曽根(1900m)までは、ゆるやかな尾根伝いを歩く。
朝日岳の肩までは40分ぐらいだ。
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ここでザックを置いて、朝日岳山頂まではピストンだ。
ほぼ直登ではあるが、10分もあれば山頂を踏むことができる。
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茶臼岳に対峙するようにそびえる朝日岳(1896m)はピークも狭く、南面は荒々しい岩肌の様相で「ニセ穂高」の異名がある。北面はハイマツのスロープ。2000mに満たない山ではあるが、これほどのハイマツ帯を持つ山は少ない。
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下りは剣が峰(1799m)を越え、峰の茶屋跡までは40分ほどなのだが、途中、岩場をトラバースしたり、ヤセ尾根のクサリ場があったりで、股間がスースーする箇所も越えなければならず、スリル満点のアルパイン気分が味わえる。
それがこのルートの魅力だ。
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峰の茶屋跡から峠の茶屋を経てロープウエイ山麓駅までは1時間ほど。
右手に茶臼岳、左手に朝日岳や鬼面山を眺めながらの気持ちのよい道が続く。
ここまで来れば那須温泉郷の街並みも見えてきて、里まではもうすぐだ。
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(山麓駅から先はまた今度…)
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by novou | 2013-09-26 10:11 | Trackback | Comments(1)
2013年 09月 24日

月を見にてっぺんへ…①

朝、いつものようにベランダに出て、日の出を待った。
5時40分。東京ではビルの谷間から朝日が昇る。
東の空は朝焼けに染まり、代官山の高層ビルが朝日を反射して輝きだす。

いい天気だ。
たまらなくいい天気だ。

こんないい天気の日は、山に行きたくなる。
胸の中に潜んでいる“山の虫”も、さっきから蠢き出して、
「行こうぜ!」と誘ってる。

折しも、あしたは中秋の名月。
山の温泉で満月を見たら、最高だろうなぁと、そんな事を考える。

山を歩き〜の、温泉はいり〜の、お月見し〜の…、想像は膨らむばかりだ。
ああ、もうダメだ。「行くっきゃない!」、のだ。

八ケ岳にしようか、那須連山にしようか迷ったけど、
思うところがあって、那須連山に決めた。

「山に行ってくるね」とオクさんにいい残し、
地図をザックに押し込んで、家を飛び出した。

3時間後、茶臼岳の9合目(1684m)にあるロープウエイ山頂駅に立っていた。
無計画に家を飛びだしたので、まだ、山小屋の予約もしていない。

とりあえず、ここで朝日岳西麓にある三斗小屋に電話して、今夜のねぐらを確保する。
この先はケータイが繋がらないのだ。

山頂駅から茶臼岳頂上までは45分程度。
ゴツゴツとした岩場やザレ場を歩く。

山頂(1915m)は絶景だった。
那須連山はガスのかかることが多いのだが、この日は雲ひとつない快晴。
360度の大パノラマが望めた。
筑波山、男体山、日光白根山、東北最高峰の燧ヶ岳、そして磐梯山まで見える。
苦労して登ってきたご褒美を、山の神さまにいただいた気分だ。

山頂で15分ほど休み、岩稜を東にくだった。
峰の茶屋跡→無言谷→延命水→沼原分岐を経て、
三斗小屋温泉までは樹林帯を90分ほど歩く。

台風の後なので山道はかなり荒れていた。
宿のオヤジには「夕食が4時半なので、3時半までには入って下さい」といわれていた。

ちょっと疲れたな、と思った頃に三斗小屋に到着。3時だった。

三斗小屋温泉には大黒屋と煙草屋の2軒の宿がある。
宿といっても、ともに山小屋に毛が生えた程度で、電気は自家発電だ。

標高1500mの山の中なので、料理に期待をしてはいけない。
温泉と眺めの良さと静けさが、宿のご馳走だ。

今回は露天風呂のある煙草屋に泊まった。

ザックを置いて、早速、汗を流しに露天風呂へ。
建物から一段高い場所にある露天風呂は見晴らしがよく、
会津方面の山並みがよく見える。

泉質はアルカリ性単純泉、
もちろん源泉かけ流し、いいお湯である。

1時間ほどお湯に浸かっていると、宿の太鼓がドド〜ンとなった。
夕食の合図だ。
風呂から出て広間に向かう。

ビールをグビッと飲んで、プハ〜ッとやってから、夕食開始。
岩魚の甘露煮ときのこの煮物、そして味噌汁の質素な夕食なので、
あっという間に夕食終了。
ふたたび露天風呂へ。夕食が終わってしまうと、
ここでは風呂に入るしか、することがないのだ。

日はだいぶ傾いていた。
それから1時間あまり、ボクは風呂に浸かり、沈んでいく夕日を独り占めにしたのだった。
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(あしたは隠居倉から朝日岳1896mを目指します)
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by novou | 2013-09-24 15:22 | 番外編 | Trackback | Comments(0)
2013年 09月 12日

カボチャの煮物

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「ちょっと煮すぎちゃったけど、食べな」と、きのうの夕方、ハハがカボチャの煮物を持ってきてくれた。
チチが死んでから、ほとんど料理をしなくなったハハだが、カボチャの煮物だけは月に1、2度作るのだ。

カボチャの煮物はボクにとってふるさとの味であり、おふくろの味だ。
ハハの作るそれはホクホクしていて、少し残ったワタの部分に醤油と砂糖とバターの甘からい味がしみていて、たまらんおいしさなのだ。

北海道に住んでいた頃は、食卓に必ずカボチャの煮物が並んでいたし、いまでもボクのいちばんの好物はカボチャの煮物だ。
ハハもそれを知っているので、いつも多めにこしらえては「食べな」と、持ってきてくれる。

ところが、今年の春ごろから、ハハの作るカボチャの煮物の味が変わってきた。
甘いのだ。カボチャの甘さならいいのだが、あきらかに砂糖の甘さである。
それでも「どんだけ砂糖 使う気なんだよ」なんて憎まれ口をたたきながらも、オクさんと2人でちゃんと残さず食べていた。
でも、きのうのカボチャの煮物は、ひと口食べて「ムリ!」と箸を置くほど、甘かったのだ。

年を取ると味覚が鈍感になって濃い味を好むようになるというけど、甘いにもホドがある。

ただ、これだけはいっても直らなそうだし、ハハが作ってくれる唯一の料理に文句を言うと、
もう何も作らなくなりそうで、それも困る。ただでさえ最近は無気力なハハなのだ。

どんぶりを返しに行った時、ハハに言った。
「おいしかったよ。また作ってね」と…。

ハハは「そうかい」と、嬉しそうに笑った。


P.S. 最近、ハハの部屋に行くと凄いボリュームでテレビがついていたりします。
耳も遠くなってきたみたい。困った…。
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by novou | 2013-09-12 18:15 | 日々の暮らし | Trackback | Comments(0)